「アロマスプレーを手作りしたいけれど、無水エタノールが手元にない」 「アルコールのツンとした匂いや刺激が苦手…」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
無水エタノールは便利ですが、揮発性が高く、肌の弱い方には刺激になることもあります。( 参考:エタノールの種類と違い|健栄製薬)
実は、アロマスプレーは特別な材料がなくても、「水」と「精油」だけで作ることができます。
私がエタノールを使わずにアロマスプレーを作る理由は、単なるコストカットだけではありません。それは、「家族、ペット、そして私。関わる全ての人が心地よいWin-Winの関係でありたい」という想いがあるからです。
自分だけが良い香りを楽しめても、アルコールに敏感な家族や、体の小さなペット(犬や猫)に負担がかかっては意味がありません。みんなが安心して深呼吸できる空間を作りたい。そんな考えから、この「水だけのレシピ」にたどり着きました。
ただし、水だけで作る場合には「混ざりにくい」「日持ちしない」といったデメリットがあるのも事実です。
そこで今回は、エタノールなしでも失敗しないアロマスプレーの作り方と、快適に使うためのちょっとしたコツ(振り方や保存について)を、私の実体験を交えてご紹介します。
エタノールなしで作るメリットとデメリット

レシピに入る前に、水だけで作るアロマスプレーにはどういう特性があるのか、私の経験から正直にお伝えします。 「良いこと」だけでなく「リスク」もしっかり理解してから作ることが、失敗しない近道です。
メリット:何より「家族への優しさ」が違う
私がエタノールなしにこだわり続ける最大の理由は、やはり「刺激の少なさ」です。
アルコール特有の揮発性がないため、スプレーした瞬間に「ケホッ」とむせたり、鼻の奥がツンとしたりすることがありません。 特に、嗅覚が鋭い犬や猫などのペットがいるご家庭や、床に近い場所で過ごす小さなお子様がいる場合、この「刺激のなさ」は大きな安心材料になります。
また、お財布に優しいのも嬉しいポイントです。 無水エタノールはドラッグストアで買うと1本1,000円以上しますが、水ならタダ同然。 「高濃度のアルコールで容器が溶ける」というトラブルも起きにくいため、家にある余ったボトルを気軽に再利用できるなど、「思い立ったらすぐ作れる手軽さ」も魅力の一つです。
デメリット:「水と油」の現実は受け入れる必要がある
一方で、科学的な視点で見るとデメリットも明確です。 エタノール(溶剤・防腐剤)を使わないということは、以下の2つのリスクと付き合うことになります。
1. どうしても分離する 小学校の理科の実験と同じで、水と油(精油)は混ざりません。 市販のスプレーのように「いつでもシュッと均一に出る」わけではなく、放置すれば精油が浮いてきます。そのまま使うと高濃度の原液が肌につく恐れがあるため、「使う直前に振る」というひと手間が絶対に必要です。
2. 腐るスピードが早い ここが一番の注意点です。アルコールには強力な殺菌作用がありますが、水にはそれがありません。 作ったスプレーを常温で放置するのは、コップの水を放置するのと同じこと。 「たくさん作って置いておく」のではなく、「使う分だけその都度作る(あるいは数日で使い切る)」という割り切りが必要です。
【基本レシピ】水だけで作るアロマスプレーの作り方

エタノールを使わない分、材料はいたってシンプル。 だからこそ「道具選び(特に容器)」へのこだわりが、仕上がりを左右します。私が試行錯誤してたどり着いた、失敗しないためのポイントをご紹介します。
用意するもの:こだわりたいのは「容器」と「水」
材料は以下の3点。中でも「容器選び」は、使い心地を決める重要な鍵となります。
1. スプレー容器(30ml〜50ml推奨) ここが最大のポイント。エタノールなしのスプレーは、アルコール入りに比べて液体の粒子が重くなりやすい傾向にあります。 そのため、100均や無印良品などで探す際は、「できるだけミストが細かく出るタイプ」をチョイスしてください。 また、このレシピは「鮮度」が命。大量に作らずこまめに使い切れるよう、手のひらに収まる小さなボトルを選ぶのがコツです。
2. 精製水(または軟水のミネラルウォーター) 基本は、不純物が取り除かれた「精製水(コンタクトレンズ用コーナーなどで販売)」がベスト。 水道水に含まれる塩素(カルキ)は、繊細な精油の香りを邪魔したり、変質の原因になったりするからです。 ※もちろん、「その日のうちに使い切る」という割り切った使い方であれば、水道水でも代用できます。
3. お好みの精油(エッセンシャルオイル) 今回は30mlの水に対して、4〜6滴ほどを使用します(濃度約1%)。 妊婦さんや小さなお子様、ペットがいる環境では、香りの刺激が強すぎないよう、半分の濃度(2〜3滴)から始めると安心です。

3分で完成!混ぜるだけの手順
作り方は「混ぜる」というより、容器の中で「合わせる」だけ。とても簡単です。
- 容器に水を入れる スプレーボトルの肩口あたり(満杯にせず少し余裕を持たせる)まで、精製水を注ぎます。余裕を持たせるのは、あとで振るためのスペースが必要だからです。
- 精油を垂らす お好みの精油をポタポタと入れます。最初は水の上に精油がプカプカと浮いている状態になりますが、これは失敗ではありません。そのままで正解です。
- しっかりとフタを閉める 漏れないようにしっかりとスプレーヘッドを閉めれば完成。
水と油が分離する!「混ざらない」時の2つの対処法

完成したボトルを見ると、水の上に油(精油)が浮いているのが見えるはず。 「これじゃ使えないのでは?」と不安になるかもしれません。そこで、界面活性剤を使わずにこれを解決する、私の「2つの解決策」をお伝えします。
① 使う直前の「20〜30回シェイク」を儀式にする(おすすめ!)
私が普段実践している、一番シンプルで確実な方法はこれ。 添加物を一切入れない以上、物理的な力で混ぜるしかありません。
使い方は簡単。スプレーする直前に、ボトルを縦に20〜30回、強めに振ってください。
軽く振るだけでは不十分。「水と油を無理やり混ぜ合わせる!」という気持ちでしっかりシェイクします。すると、中の液体が一時的に白っぽく濁ります(乳化に近い状態)。この白くなっている間に、すかさずシュッとスプレーするのです。
毎回振るのは手間に感じるかもしれません。しかし、慣れてしまえば「香りの儀式」のようなもの。余計なものを入れない分、精油本来のピュアな香りが楽しめますよ。
② 植物性グリセリンを少量加える
「毎回振るのはどうしても面倒」「もう少し香りを長持ちさせたい」。そんな時は、ドラッグストアで手に入る**「植物性グリセリン」**を小さじ1/2程度混ぜてみてください。
グリセリンは保湿剤として有名ですが、アロマクラフトにおいては、精油を水になじみやすくし、**香りの揮発を緩やかにする「保留剤」**としての役割も果たしてくれます。 完全に混ざり合うわけではありませんが、水だけの時より分離が遅くなり、香りも少しマイルドになります。ます。
【実体験】エタノールなしスプレーの「向き・不向き」

実際に玄関やトイレ、寝室など、家中のあちこちで使い比べてみて気づいた重要なポイントがあります。
それは、エタノールなしのスプレーは「空間」よりも「物(布製品)」に向いているということ。
ここを理解していないと、「思ったより香らない」「床が濡れてしまった」という失敗につながりかねません。私の実体験に基づく、ベストな使い分けをご紹介します。
空間(エアミスト)として使う場合:△
残念ながら、部屋全体に香りを広げる用途にはあまり向きません。
理由は「揮発性の弱さ」。 アルコールが入っていない分、スプレーした霧が空気中で蒸発しきれず、そのまま重力で落下してしまいます。 結果、香りが広がる前に床や家具に落ちてしまい、「香らないのに床だけビチャビチャ」という悲しい事態になりがち。 空間に使う場合は、天井に向かって高く吹き上げるか、サーキュレーターの風に乗せるなどの工夫が必要です。
布製品(ファブリックミスト)として使う場合:◎
一方、枕、クッション、カーテンなどの「布製品」との相性は抜群です。
精油の成分が繊維に直接付着するため、エタノールがなくても香りを長く留めておくことができます。 おすすめの使い方は以下の通り。
- 寝る前の枕元に: 枕の端にシュッとひと吹き。アルコール臭に邪魔されず、精油本来の優しい香りに包まれて眠れます。
- ソファーのクッションに: リラックスタイムのお供に。背中を預けた時にふわりと香ります。
【使い方のコツ】 水ベースのスプレーは乾きにくいため、「かけすぎ(濡らしすぎ)」には要注意。 一点に集中して吹きかけるのではなく、20〜30cmほど離して、霧をふんわりとまとわせるイメージで使うのがポイントです。
すぐ腐る?保存期間と「使い切る」ための安全管理

水だけで作るスプレーの最大の弱点は、保存料やアルコールが入っていないため「腐りやすい(雑菌が繁殖しやすい)」こと。
よく「冷蔵庫で1週間もちますか?」と質問をいただきますが、私の答えはズバリ「作り置きはしない」です。
「使い切る分だけ作る」が一番の贅沢
私は基本的に「その日のうちに使い切る」、あるいは数日でなくなる量しか作りません。 これには2つの明確な理由があります。
- 衛生面のリスク 防腐剤がないため、時間が経てば水は傷み、見えない雑菌が増殖します。これを吸い込むのは衛生的とは言えません。
- 香りの鮮度 精油は酸化しやすい物質。作った瞬間が一番フレッシュで良い香りがします。
「あまったらどうしよう?」と管理に悩むより、「1回で使い切れる少量(10ml〜20mlなど)」だけ作るスタイルへの切り替えをおすすめします。 実はこれが、一番衛生的かつ常に最高の香りを楽しめる、贅沢で効率的な方法なのです。
もし余ってしまったら?
どうしても余ってしまった場合は、冷蔵庫で保管し、遅くとも2〜3日以内には使い切りましょう。 もし「水が白く濁ってきた(乳化以外の濁り)」「酸っぱい匂いがする」など、異変を感じたら、もったいなくてもすぐに捨ててください。
また、使い終わったボトルのケアも忘れずに。 ノズル(管)の中に古い水が残っているとカビの原因になります。再利用する際は、必ず水を通して洗浄し、完全に乾燥させてから次を作るようにしてください。です。
【Q&A】エタノールなしアロマスプレーのよくある質問

まとめ:水だけのアロマスプレーで「優しく香る」暮らしを

エタノールを使わないアロマスプレーは、少しの手間(振ること)とコツ(使い切り)さえ掴めば、誰でも簡単に作れる「一番優しいアロマの楽しみ方」です。
最後に、失敗しないための3つのポイントを振り返りましょう。
- 振るのが儀式:使う直前に20〜30回シェイクして、物理的に混ぜる。
- 布製品がベスト:空間よりも、枕やクッションなどの「モノ」に使うと香りが長持ち。
- 鮮度が命:防腐剤がないからこそ、その都度使い切れる量だけ作るのが一番衛生的。
「アロマ=アルコールが必要」という常識を一度手放してみる。 そして、あなた自身はもちろん、あなたの大切な家族やペットが安心して深呼吸できる、心地よい香りを楽しんでくださいね。
※重要:知っておきたい「精油の安全性」と免責事項
最後に、安全にアロマテラピーを楽しむために、必ずご確認いただきたいことがあります。
【ペット(犬・猫)と暮らしている方へ】 エタノールなしで「アルコールの刺激」はなくなりますが、「精油そのものの成分」にも注意が必要です。 特に猫は、精油の成分を肝臓で分解できないため、中毒を起こすリスクがあります。
参考:どうぶつとアロマテラピーとの相性について|アニコム損保
- 猫のいる部屋ではディフューザーやスプレーの使用を控える
- どうしても使う場合は、猫が絶対に入らない部屋で使用する
- 犬の場合も、嗅覚が鋭いため、濃度を人間用の半分以下(0.5%程度)にする
など、動物ごとの特性を必ず調べ、家族全員が「Win-Win」になれる運用を心がけてください。
また、精油の詳しい安全な取り扱いについては、日本アロマ環境協会のガイドラインも参考になります。 参考:アロマテラピーの安全な楽しみ方|公益社団法人 日本アロマ環境協会
【免責事項】 本記事で紹介したレシピや使用方法は、個人の実体験に基づくものです。アロマテラピーは自己責任において行い、使用中に肌の異常や体調不良を感じた場合は、直ちに使用を中止し医師の診断を受けてください。万が一トラブルが発生した場合、当ブログでは責任を負いかねます。
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